N君との約束
石巻かほく 『つつじ野』 平成17年3月12日掲載記事
彼と出会ったのは四年前。青年会議所(JC)東北地区の委員会で一緒となり意気投合した。S青年会議所のN君。同い歳という事もあったが、何より考え方が良く似ていた。おかしいと思えば誰彼構わず議論を挑み、一度頼りにされれば徹夜してでもやり遂げる。そして、自分の住むまちをどうにかしたいと孤軍奮闘していた。本当に良く似た人間がいるものだと思った。
一方で私より遙かに優れている部分も多くあった。彼もまた建材卸会社の二代目。だがその立場に甘んじることなく、自ら贈答品店を起業し3店舗を構えるまで成長させた。仲間想いで、常に人への気遣いを忘れない。豪快さと繊細さが同居する不思議な、でも尊敬すべき人間であった。一年間の委員会活動を終えた後も、彼との親交は続いた。お互いのまちを行き来したり、電話しては悩みを相談してみたり。どちらともなく口から出る「最近起きてる家族に会った事がないなぁ」が会話のシメだった。
昨年6月、石巻JCは創立40周年を迎えた。その記念式典の数日前、彼から連絡があった。「行きたいんだけど、どうしても都合がつかない」確かそんな内容だったと思う。そして、式典当日の早朝、午前4時頃。突然、携帯電話が鳴った。声の主はS青年会議所のS君。沈痛な声。嫌な予感がした。「Nさんが先ほど亡くなりました…」愕然とした。前夜会合を終え帰宅、明け方に心筋梗塞となり帰らぬ人となったという。式典会場で、積み上げられた祝電の中に彼の名前を見つけ涙した。最後まで気遣いを忘れない男だった。数日後執り行われた葬儀に参列。まだ状況を理解できずはしゃぐ幼い息子達の姿に胸を痛めた。
私はこれを美談として語るつもりはない。皮肉にも、誰より一番愛すべき自らの家族を不幸にしてしまったことは事実だ。だが、これだけは言いたい。家族の為に仕事に没頭し、さらに地域の為に身を費やした青年もいるという事を。私には彼との約束がある。その約束を今年、理事長としてやり遂げようと誓っている。JCから興す『政治改革の風』だ。
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